Ema no Nikki dayo!

時々勢いよく常にゆるく

キミと食べるジェラート

 

お久しぶりです!最近ずっと雨が突然降ったり止んだりで忙しい天気ですね。お元気でしょうか?

 

8月もそろそろ終わりということで、ビアンコとパニーノのちょっとしたお話を載せようと思いまして。

 

↓それではどうぞ…!

 

 

 

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久しぶりの休日だった。
真夏の青空の下を、ビアンコとパニーノは汗を拭いながら歩いていた。

 

「おっ!見えたぞ」

 

自分達が住んでいる街より少し遠くにあるジェラテリアに到着した。ここに来たのは約一年ぶりだ。
仕事が非常に忙しく、なかなか遠出ができずにいた。

 

「チャオ!」

 

二人を見てはしゃぐ大柄な店主に、ビアンコは挨拶をする。少し話をした後にジェラートを注文した。

 

「ん~。オレ、チョコレートとイチゴにしよっかな~!」
「そうだなぁ…じゃあ、俺も同じものを」
 
同じ味を伝えると、店主が張り切ってジェラートを掬い、一つは切り込みを入れた丸形のパンに、もう一つはコーンに乗せた。それぞれが受け取ると、店主にまた来ると告げて、二人はジェラテリアのすぐ側にあったベンチに腰を掛けた。そこはちょうど建物の影になっていて涼しかった。
早速一口食べる。口内が一気に冷やされて、気持ちが良い。
チョコレートの甘みとストロベリーの酸味という相性抜群のジェラートに、二人は思わず笑みが溢れた。まさに求めていたものだった。
容赦なく照りつける日光と暑さで火照り、汗だくになった身体と、長時間歩き続けた疲労から折れそうになっていた心が一瞬で癒された。

 

「はぁ~…幸せ…美味しい…」
「あぁ……やっぱここのジェラートは美味いな。他んとこも勿論美味いんだが…ここは本当に特別だ」
「うんうん!そうだね!ホンットにそのとおり!よーし!こうなったらここのジェラートの味、全種類制覇しちゃおっかなー?!」
「とっくに制覇してんじゃねーか」
「あ、あれ?そうだったっけ?えっへへ!あちこちで食べてるから忘れちゃってた!」
「ったくよ~」

 

口の端にジェラートをつけたまま無邪気に笑うパニーノ。それを見ると、ビアンコはポケットからハンカチを取り出し、口元を拭ってあげた。パニーノはより一層笑顔になる。

 

「わー!付いてたの?!えへへ、ごめんね!ありがとう!」
「いいってことよ」

 

ビアンコはパニーノにウィンクをし、ハンカチをポケットに仕舞うと再びジェラートに目線を戻した。
と、ふとパニーノが顔をじっと見つめてきているのに気付く。

 

「なんだ?どうかしたのか?」
「ビアンコ、パーパみたい!」
「え?パーパァ?」

 

ビアンコは、パニーノの思わぬ言葉に気の抜けた返事しかできなかった。

 

「あ、えっと、マンマの方が良かったかな?!」
「いやいや何でだよ!つーかお前が子供みてえなんだよな…」
「ぶー!子供じゃないもんねー!」

 

そう言うとパニーノは頬を風船のように膨らました。

 

「そんなところが、だよ」
「えぇー!?そんなところってどこ!?どこー!?」
「っははは。ほら、早く食わねえとじわじわ溶けてるぞ?」
「あー!あー!!どうしようビアンコ?!大変大変!!」

 


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既にドロドロと指を伝っていたジェラートを大慌てで舐めるパニーノ。忙しい様子の相棒が可笑しくてビアンコはまた笑った。